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Training Drill
友岡和彦の競技者のためのトレーニングドリル
第21
回 「コンプレックス・ストレッチプログラム」


コンプレックス・ストレッチプログラム

 前回に引き続き今回もコンプレックス・ストレッチというストレッチのバリエーションについて紹介したいと思います。このストレッチは、従来の受身的な一面でのストレッチに対して、重心をコントロールしながら3面でストレッチをすることを目的としています。パートナーによるストレッチだけでは、単に受身的に筋肉を伸ばされることになります。そして、スタティック(静的)なストレッチの直後筋肉は柔らかく(軽く)感じるのですが、いざ立って動いてみると力が抜けて、ふらふらに感じることもあります。実際に、あるリサーチでスタティックストレッチ直後の垂直跳びの高さを計測したところ、スタティックストレッチは垂直跳び、つまり下半身のパワー発揮に逆影響を及ぼすという研究報告をしています。おそらくスタティックストレッチによって、筋肉の弛緩をさらに促し、一時的筋肉の弛緩と収縮のタイミングを狂わすことになるのかもしれません。そしてプレー中、実際に怪我が起こるのは、筋肉の弛緩と収縮のタイミング、つまり筋肉が伸びた状態から縮むタイミング(トランスフォーメーション)のずれが大きく関わってきます。そのため、障害予防とパフォーマンスの向上のためには、このような動作特性をトレーニングしていかなければいけません。
 そこで今回は、地面に立った状態で3面を使って行うスタティックなストレッチ(トゥルーストレッチという器具を使って行います)、そしてその直後に、そのスタティックストレッチによって得られた新たな可動域において、チュービングなどによるバリスティック(弾道)な弛緩・収縮のトレーニングを行う、コンプレッスクス(コンボ)なストレッチプログラムを行っていきます。

注意点

スタティックストレッチ:
  • 1面だけに終わらず、しっかりと3面でのストレッチを行う(筋肉をストレッチすることから進んで、動作をストレッチする)
  • 筋肉をストレッチする場合は、単にその筋肉を受身的にストレッチするだけではなく、その筋肉と逆の働きをする筋肉に力を入れてストレッチを行う。つまり、主動筋をストレッチするときには、拮抗筋を収縮させることによって、主導筋を弛緩させることを目的としています。たとえば、腸腰筋(主動筋)をストレッチする場合には、それと逆の働きをする臀筋(拮抗筋)をしっかりと収縮しながら腸腰筋をストレッチしていきます。
  • 20秒ほどスタティックなストレッチを行います。
チュービング・トレーニング(バリスティックストレッチ):
  • スタティックストレッチ直後に行います。
  • スタティックストレッチでストレッチした筋肉をバリスティックにストレッチしていきます。これによって筋肉の弛緩・収縮を繰り返していきます。
  • 主にスタティックストレッチで得られた新たな可動域でバリスティックな動きを行います。
  • 20−30回ほど行います。


コンプレックス・ストレッチプログラムの基本的な例
 
 
1.ハムストリング(膝腱)
・スタティックストレッチ
1. 矢状面 2. 水平面
このほかに、前額面でのハムストリングのストレッチを行います。
・バリスティックストレッチ
 
 
2. 大腿筋膜張筋
・スタティックストレッチ
股関節の内旋、内転、屈曲の3面でのストレッチ
・バリスティックストレッチ

3. 腸腰筋
・ スタティックストレッチ
1. 矢状面 2. 水平面 3. 前額面
・バリスティックストレッチ :体を直立に保ち、バランスを保ちます。(15−20回)

4.股関節
・スタティックストレッチ
1. 右大腿骨の内旋(ローディング) 2. 右大腿骨の外旋(アンローディング)
・バリスティックストレッチ
1. 大腿骨の内旋のストレッチ
2. 大腿骨の外旋のストレッチ
 
5.大胸筋
・スタティックストレッチ :ここでは、ゆっくりした動作を用いてストレッチを行います。
・バリスティックストレッチ :ボールを投げるような動作でチュービングを引っ張っていきます。
 
 
6.広背筋、腹斜筋
・スタティックストレッチ
・バリスティックストレッチ
 
 
7.スイング動作
・スタティックストレッチ
・バリスティックストレッチ :15−20回ほどスイング動作を行います。
 
8.アキレス腱(ひらめ筋)
これは、ひらめ筋の3面(回内、回外)を用いた効果的なストレッチ方法です。それぞれ15−20回ほど動作をつけて行います。
1. ニュートラル 2. 回内 3. 回外

最後に
 これまで20回にわたって、障害予防またパフォーマンス向上についてのトレーニング方法を紹介してきました。そして、日本に帰ってきたときに、このサイトを見て実際のトレーニングに応用してもらい、好結果を及ぼしたと言うトレーナーやコンディショニングコーチの方の話を聞くとうれしく思います。そして、彼らの新しい知識を得ようとする姿勢には、こちらの頭が下がってしまいます。こうした若い人たちが増えることによって、必ずスポーツに関わっている選手、コーチ、そしてチーム全体に貢献できると確信しています。
 また、2004年には、ある格闘技の指導者と知り合う機会がありました。彼はこのサイトを通してトレーニングに関して多くの刺激を受け、それを今度は格闘技(空手)という種目に応用し成功したと聞きました。そこで、このトレーニングコラムの最後として、次回は野球、フットボール、またサッカーなどとは異なる格闘技へのトレーニングの応用の実例を紹介してみたいと思います。
 
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バックナンバー
2005/02 最終回
「スポーツスペシフィックトレーニングの例」
2005/01 第21回
「コンプレックス・ストレッチプログラム」
2004/10 第20回
「ファンクショナルストレッチ1 ―アクティブストレッチ―」
2004/09 第19回
「パワートレーニング ―コンプレックストレーニング―」
2004/08 第18回
「足首捻挫のファンクショナルリハビリテーションプログラム」
2004/07 第17回
「腰部のメインテナンスプログラム」
2004/06 第16回
「ショルダーメインテナンスプログラム」
2004/05 第15回
「ウォームアップのバリエーション」
2004/04 第14回
「ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(パート2)」
2004/03 第13回
「ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(パート1)」
2004/02 第12回
「マトリックスバランスドリル(パート2)」
2004/01 第11回
「マトリックスバランスドリル(基礎編)」
2003/11 第10回
「ダンベルマトリックス −上半身、下半身−」
2003/10 第9回
「フォームローラードリル」
2003/8 第8回
「自体重ドリル」
2003/7 第7回
「チュービングドリル」
2003/6 第6回
「ミニバンドドリル」
2003/5 第5回
「マイクロハードルドリル」
2003/4 第4回
「ミニハードルドリル」
2003/3 第3回
「メディシンボールドリル」
2003/2 第2回
「バランスボールドリル - 上半身、下半身トレーニング」
2003/1 第1回
「バランスボールドリル - 体幹トレーニング」


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