前回に引き続き今回もコンプレックス・ストレッチというストレッチのバリエーションについて紹介したいと思います。このストレッチは、従来の受身的な一面でのストレッチに対して、重心をコントロールしながら3面でストレッチをすることを目的としています。パートナーによるストレッチだけでは、単に受身的に筋肉を伸ばされることになります。そして、スタティック(静的)なストレッチの直後筋肉は柔らかく(軽く)感じるのですが、いざ立って動いてみると力が抜けて、ふらふらに感じることもあります。実際に、あるリサーチでスタティックストレッチ直後の垂直跳びの高さを計測したところ、スタティックストレッチは垂直跳び、つまり下半身のパワー発揮に逆影響を及ぼすという研究報告をしています。おそらくスタティックストレッチによって、筋肉の弛緩をさらに促し、一時的筋肉の弛緩と収縮のタイミングを狂わすことになるのかもしれません。そしてプレー中、実際に怪我が起こるのは、筋肉の弛緩と収縮のタイミング、つまり筋肉が伸びた状態から縮むタイミング(トランスフォーメーション)のずれが大きく関わってきます。そのため、障害予防とパフォーマンスの向上のためには、このような動作特性をトレーニングしていかなければいけません。
そこで今回は、地面に立った状態で3面を使って行うスタティックなストレッチ(トゥルーストレッチという器具を使って行います)、そしてその直後に、そのスタティックストレッチによって得られた新たな可動域において、チュービングなどによるバリスティック(弾道)な弛緩・収縮のトレーニングを行う、コンプレッスクス(コンボ)なストレッチプログラムを行っていきます。
注意点
スタティックストレッチ:
- 1面だけに終わらず、しっかりと3面でのストレッチを行う(筋肉をストレッチすることから進んで、動作をストレッチする)
- 筋肉をストレッチする場合は、単にその筋肉を受身的にストレッチするだけではなく、その筋肉と逆の働きをする筋肉に力を入れてストレッチを行う。つまり、主動筋をストレッチするときには、拮抗筋を収縮させることによって、主導筋を弛緩させることを目的としています。たとえば、腸腰筋(主動筋)をストレッチする場合には、それと逆の働きをする臀筋(拮抗筋)をしっかりと収縮しながら腸腰筋をストレッチしていきます。
- 20秒ほどスタティックなストレッチを行います。
チュービング・トレーニング(バリスティックストレッチ):
- スタティックストレッチ直後に行います。
- スタティックストレッチでストレッチした筋肉をバリスティックにストレッチしていきます。これによって筋肉の弛緩・収縮を繰り返していきます。
- 主にスタティックストレッチで得られた新たな可動域でバリスティックな動きを行います。
- 20−30回ほど行います。
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