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Training Drill
友岡和彦の競技者のためのトレーニングドリル
第18
回 「足首捻挫のファンクショナルリハビリテーションプログラム」


足首捻挫のファンクショナルリハビリテーションプログラム

 足首の捻挫はスポーツで、最もよく起こる傷害の1つです。そして、安静やアイシングによって炎症が治まるものの、1度捻挫を起こすと再び同じような怪我をする可能性が出てきます。われわれトレーナーやトレーニングコーチは怪我の再発を防ぐため、炎症が治まったところで、リハビリもしくは、障害予防のためのトレーニングを行います。しかし、いくら教科書どおりに処置を施しても、選手が再度同じ怪我を起こしてしまうという経験はなかったでしょうか。実際、私自身学校で習ってきたように選手をテーブルに座らせて、チュービングを足に巻きつけて足首を4方向に動かして、足首周りの筋肉(特に腓骨筋)を強くすることを目的に行っていました。しかし、それだけでは、その結果は満足いくものではありませんでした。
 そこで、ここでは足首の機能(ファンクション)に着目して、足首の捻挫のトレーニングについて紹介していきたいと思います。まず、いつものようにトレーニングやリハビリを行うときには、目的がなくてはいけません。そこで、この足首のファンクショナルリハビリプログラムのキーポイントをいくつか挙げて、それから基本的なドリルを紹介していきたいと思います。


1. 足首の機能に注目

以前にすべての動作には、バネやゴムのようにローディング(力の溜め、減速)とアンローディング(力の発揮、加速)あり、それが繰り返されていると説明しました。これはリハビリでも同じで、できるだけ足首の正しい機能を回復させるためには、われわれが通常行う機能性をトレーニングしていかなければいけません。つまり、これまで力の発揮(アンローディング)だけ考えたトレーニングから方向を変えるようにしなければいかません。たとえば、足首に機能上で大変重要であるものの、その機能を誤解してとられている筋肉に、後脛骨筋と腓骨筋があります。教科書などでは後脛骨筋は主に足首の底屈と内反(回外)の役割を果たすと書いています。しかし、実際には重力の中で歩いたり、走ったり、ジャンプをする場合には、背屈と外反(回内)の減速(ローディング)の役割のほうが大きいと言われてくるようになりました(MIKE CLARK, GARY GRAY, VERN GAMBETTA)。そして、このローディングがしっかりと行われなければ、その後に起こるアンローディング(加速)にもマイナスの影響を与え、他の筋肉や関節に負担をかけることになります。そして、実はこのローディング時には筋肉はエクセントリック(筋肉の伸張)な力が加わり、関節を安定(コントロール)させていると同時に、伸びている状態になります。そしてその伸びた状態(エクセントリック)から今度は筋肉が収縮され力が発揮されていきます。(そして、前回この筋肉の伸張が収縮に変わる期間をトランスフォーメーションと説明しました。) そして、腓骨筋も同様に、じつは機能の面では回外の減速において重要な役割を果たしています。そのために、トレーニングやリハビリでも単にテーブルに座って負荷をかけるエクササイズではなく、重力のある中で地面にたってローディングとアンローディングを繰り返し行うドリルを行わなければいけません。


2. 感覚受容器への刺激

捻挫を起こしたときに、ダメージを受けるのは筋肉や腱だけではなく、足首のバランスをつかさどる感覚受容器への影響も大きく起こります。そして、この感覚受容器は運動中に足首に位置や腱の急速な伸張を感じ取り、元の安全な体勢に体を戻す役割があります。そして、これが正しく機能しなければ、いくら腱や筋肉が強くても、体の全体重を支えることはできず、再度捻挫を起こす可能性が高まってきます。そのためリハビリの早い段階で感覚受容器の回復が今後の捻挫予防のために大変重要になります。そこで、段階を踏んだいわゆる「バランストレーニング」を行う必要があります。


3. 3面でのトレーニング

これはドリルを考える際に、常に頭に入れておかなければいけないことです。足首を通るすべての12の筋肉は、1面だけで働くのではなく、3面で機能しています。そこで、ストレッチを行うときでも、3面でストレッチを行うようにしなければいけません。足首のストレッチの場合は、ただ関節の底屈、背屈の1面ではなく、水平面、前額面(距骨下関節)でも単一的にではなく、全身と統合させてストレッチを行います。このドリルでは、BAPS ボード、もしくはそれがなければ、バランスディスクを使ったストレッチを行います(写真参照)。

 
 
トレーニング種目
A.可動域
バランスディスクの上に、下の写真のような丸いボードを置き、両手もしくは片手でバランスを保ちながら片足でボードの上にのります。この状態から、ボードに乗せた方の足首をゆっくりと時計回り、反時計回りにローリングさせていきます。この時、足首の外側を捻挫して炎症が残っている場合には、足首の内反の動きは最小限、または避けるようにしてください。
B.ストレッチ
靴を脱いで、バランスディスクの上に丸いボードを真ん中より左に置き、左に傾斜するようにします。そしてその上に右足を乗せます。ふくらはぎをストレッチする要領で、左足を左右交互にゆっくりと振っています。このときの上半身は、両手で壁などに前方へ寄りかかった状態となっています。
1. 2.
  1. 足首の関節が底屈、外反、内転された状態でのストレッチ。これは歩行時のローディングの動作
  2. 足首の関節が底屈から背屈に変わった状態、そして外反から内反へ、内転から外転に変わろうとした状態です。
C. バランスドリル(足がドライバー)
上で説明したように、個々の筋肉の強化だけでは不十分です。そこで、足首を安定させながら、3面で正しく動かす動作をトレーニングします。ここでは、意識的に個々の筋肉を動かそうとするのではなく、無意識のうちに体のバランスをとること疎練習しなければいけません。
1. 矢状面 2. 前額面 3. 水平面
D. バランスドリル(上半身または手がドライバー)
ここでは、足ではなく上半身または手を動かして、その中でバランスをとる練習を行います。したには基本的な3面の動きを紹介していますが、プレグレッションとして、パートナーとのボールパス、チュービング、ボディーブレード、ダンベルなどを使って抵抗を与えることもできます。
1 .矢状面
2. 前額面:上半身を左右に倒します。
3. 水平面(回転)-a
3. 水平面(回転)-b
* バリエーション: ダンベルを使って抵抗をかけたバランスドリル(ここでは以前紹介した上半身のダンベルマトリックスを行っています)
E. ジャンプドリル
スポーツでは、素早いジャンプや方向転換が必要とされます。そこでリハビリの一環としてもジャンプドリルも入れる必要があります。ここでも単に1方向に飛ぶのではなく、3面(前方、左右、回転)を使ってジャンプを行うようにします。下にジャンプドリルのプレグレッションを紹介します。
  1. 片足加重での3面でのジャンプ:捻挫したほうの足に30%ほどの荷重をかけてジャンプをします。
  2. 3面での両足ジャンプ
  3. 3面での両足連続ジャンプ
  4. 3面での片足ジャンプ
  5. 3面での片足連続ジャンプ
 
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2005/01 第21回
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2004/10 第20回
「ファンクショナルストレッチ1 ―アクティブストレッチ―」
2004/09 第19回
「パワートレーニング ―コンプレックストレーニング―」
2004/08 第18回
「足首捻挫のファンクショナルリハビリテーションプログラム」
2004/07 第17回
「腰部のメインテナンスプログラム」
2004/06 第16回
「ショルダーメインテナンスプログラム」
2004/05 第15回
「ウォームアップのバリエーション」
2004/04 第14回
「ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(パート2)」
2004/03 第13回
「ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(パート1)」
2004/02 第12回
「マトリックスバランスドリル(パート2)」
2004/01 第11回
「マトリックスバランスドリル(基礎編)」
2003/11 第10回
「ダンベルマトリックス −上半身、下半身−」
2003/10 第9回
「フォームローラードリル」
2003/8 第8回
「自体重ドリル」
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「チュービングドリル」
2003/6 第6回
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2003/4 第4回
「ミニハードルドリル」
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「メディシンボールドリル」
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「バランスボールドリル - 上半身、下半身トレーニング」
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