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Training Drill
友岡和彦の競技者のためのトレーニングドリル
第17回 「腰部のメインテナンスプログラム」


腰部のメインテナンスプログラム

 これまでスポーツをしてきた人であれば、一時的にでも腰痛を経験したことがあると思います。その中には原因がわからずに、長い間苦しんできた人もいるはずです。また、腰痛の予防やリハビリに関する本もたくさん出ていますが、それぞれの本では、考え方やエクササイズの仕方にもついても違いがあるのも確かです。ここでは、1つの考え方に偏らず、腰痛予防のためのエクササイズを多方面から紹介していきたいと思います。これまでのリサーチによる腰痛の原因だとされるものをいくつか挙げて、それぞれの腰部のメインテナンスプログラムを紹介していきたいと思います。


1. 腹横筋

腹横筋については、以前「体幹トレーニング」の章で詳しく紹介しました。腹横筋は、背骨を安定させる重要な役割をしているため、腹背筋のトレーニングでは「ドローインマニューバー」を意識して行うようにしてください。そして、それから普段意識をしないで腹横筋が自然と使えるようになるのがゴールとなります。

* 腹横筋を意識した基本的な体幹ドリルとブリッジエクササイズ:ドローインマニューバーを意識して行うようにしてください。最初は15回ほどから始めて行きましょう。またブリッジエクササイズでは20−50秒間その状態を保つようにします。

 
クランチ
スパインシングルレッグリフト
片足を上げた状態で5秒ほど静止し、交互にバランスをとりながら行います
斜めクランチ
リーチアップ
上半身ロシアンツイスト
ブリッジエクササイズ
プランク(両足、または片足で) サイドブリッジ
スパインブリッジ(両足、または片足で):支えているほうに足のつま先をしっかり立てるようにします。


2. 腸腰筋の柔軟性と安定性
腸腰筋については、「連鎖反応(チェーンリアクション)」の章でふれたと思います。腸腰筋は、股関節での屈曲・外転・内旋動作を行います。そして、普段の生活ではいすに座ったり、腰を曲げていたりすることが多いためこの筋肉の柔軟性が失われてきます。このことはよく言われていることなのですが、そこでストレッチを行う場合、ほとんどの人は股関節の伸展を中心としたストレッチだけを行ってしまいます。しかし、ストレッチでも、ただ単に1面でストレッチを行っても、必ずしもほかの2面での柔軟性が向上するとは限りません。そして、筋肉がすべての3面で正しく機能しなければ、それより下もしくは上の関節に余計な負担をかけることがあります。そのため股関節の伸展が失われることで、アキレス腱や膝の腱鞘炎、首の筋肉の張りからくる頭痛などが考えられます。これはまさに人間の体の部位は単独に存在して、単独に機能しているのではなく、すべての部位がお互いに影響しあいながら、全体で協調して1つの動きが作られているからです。そして、骨盤の可動性に大きな影響を与える腸腰筋の3面でのストレッチと安定性のトレーニングを同時に行う必要があります。私たちは柔軟性のトレーニングでは、ただ単に筋肉を伸ばして、その状態をしばらくキープしますが、実際の動きの中では筋肉はストレッチされるだけでなく、元の状態に戻そうとする神経系(プロプリオセプター)の要素も含まれてきます。筋肉が、ある一定以上伸びると怪我を防ぐために、神経系を通してそれ以上伸ばさないように筋肉を縮める働きがあります。実はこの働き(筋肉を伸ばして縮める動き=トランスフォーメーション)がスポーツなどでは大変重要になってきます(Gary Grayより)。実際、華麗な動きをするダンサーなどは、この能力にたいへん優れています。ストレッチを行う際、単に筋肉を伸ばすだけでなく、神経系も考慮に入れたトランスフォーメーションを考慮するように行います。
基本的なストレッチ
ここでは単に静的なストレッチをするのではなく、バリスティック的に軽い反動をつけながら行います。最初は1−2セット12回ほどから初めて行きましょう。そして、最初から可動域の最後のほうまでストレッチをするのではなく、その前の余裕のある範囲で反動をすけた(バリスティック)ストレッチを行っていき、徐々に可動域を広げていくようにします。また、ここでのポイントは、腸腰筋を一面(特に伸展)でのみストレッチをするのだけではなく、すべての3面を使ってストレッチを行うようにします。
 
腸腰筋のファンクショナルストレッチング例
  1. 矢状面(写真なし):片足を台の上にのせ、逆足の股関節(特に腸腰筋)をストレッチします。このとき、上体を後ろにそらして、バリスティックなストレッチを10−12回ほど行います。
  2. 水平面:今度は同じ姿勢で、体を水平面にねじってバリスティック名ストレッチを行います。
 c. 前額面:体を横方向に倒して、腸腰筋をバリスティックにストレッチします。


3. 多裂筋の筋力向上
米国の理学療法士のJim Johnsonによると、多裂筋の筋力を向上することは、腰痛を和らげたり、または予防したりする上でもとても重要だと述べています(Back Pain Solutionより)。そしてさらに彼は次のように言っています。
  • 急性的な腰痛を起こした患者の多くは、左右の多裂筋の大きさが違い、それらの筋肉を強くすることによって、多裂筋の完全な回復だけでなく、それから後の腰痛予防にも効果的である。
  • また、慢性的な腰痛を持つ患者の多くは、深部の腹筋と腰部の筋肉を鍛えることによって痛みを和らげることができた。
  • ほかの多くのリサーチでは、腰痛を持つ患者の多くは、多裂筋がEMGでは正常に機能していないだけではなく、それらの筋肉が普通のサイズよりも小さいと言うことが報告されている。そして、これはエクササイズを行うことによって直すことが可能である。
 
スーパーマン
交互に片手片足を上げ、静止した後ゆっくりと下げて生きます。このとき骨盤が床と平行になり、背中が曲がらないようにします。2x12回ほどから始めてください。
バックエクステンション
上半身をそらし過ぎないように行います。2x12回ほどから始めてください。
リバースハイパー
肩の高さを変えないで、両足そろえて膝を伸ばして足を上げていきます。体が一直線になるまで足を上げていき、その状態を保った後ゆっくりと下ろして生きます。2セット12回から始めてください。
ヒップスパイク
両膝をつけて、腰の上下運動をゆっくりと行います。このときはムストリングと、殿部を使った感じがするはずです。またこのときもしっかりと、ドローインマニューバーを行うようにしてください。2セット12回ほどから始めてください。
ダブルレッグブリッジ
膝から上半身が一直線上になるまで、腰を上げていきます。2セット12回ほどから始めてください。


 
4. 股関節の可動性と安定性
腰痛予防として、股関節が3面で正しく動けるということも大変重要です。そこで、ここでは股関節の可動性プラス安定性をトレーニングするために、以前紹介したランジマトレックスを行います。「ランジマトリックス」の章を参照してください。ここでも上半身を3面で動かすようにしてください。最初は、前、横、斜め右後、斜め左後方向への4方向のレンジを行い、それぞれの方向を1−2セット4回ほど(合計16回)行います。
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2004/09 第19回
「パワートレーニング ―コンプレックストレーニング―」
2004/08 第18回
「足首捻挫のファンクショナルリハビリテーションプログラム」
2004/07 第17回
「腰部のメインテナンスプログラム」
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「ウォームアップのバリエーション」
2004/04 第14回
「ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(パート2)」
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「マトリックスバランスドリル(基礎編)」
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「ダンベルマトリックス −上半身、下半身−」
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