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Training Drill
友岡和彦の競技者のためのトレーニングドリル
第15回 「ウォームアップのバリエーション」

ウォームアップのバリエーション

以前、「トレーニングガイド」でウォームアップについて説明しましたが、今回は、そこで紹介したドリルに加えて更にいくつかのドリルを紹介したいと思います。「トレーニングガイド」の「ウォームアップ」の章を読んでない方はぜひ、このウォームアップドリルを見る前に、それを参考にするようにしてください。その中で説明したように単に練習前、試合前の準備として、ジョギングやストレッチを行うだけでは十分とはいえません。また、毎日同じウォームアップのメニューを繰り返していても、きっと選手がそれに飽きてきてしまい、効率的なウォームアップができなくなってはいませんか?実際エクスポズでも選手たちにあきさせないようにいくつかの種類のウォームアップを行っています。今回はウォームアップに関して、いくつかのバリエーションを紹介したいと思います。
 ウォームアップドリルを紹介するDr. Franksは、彼の著書「Ergogenic Aids in Sport」(Human KineticsPublishers, 1993)の中で、ストレッチに関して以下のようにまとめています。ウォームアップドリルを組み立てていく際のヒントになると思います。
  • ウェイトリフティングや砲丸投げのような短時間で、強度の強い競技では、ウォーミングアップによってパフォーマンスを向上することができる。
  • 強度の強いウォームアップは、特に持久力の要素の強い競技ではパフォーマンスを低下させることがある。
  • 持久力の競技や強度の低いスポーツでは、ウォームアップによって特別な効果は期待できない。
  • 瞬発的な動きを必要とするスポーツを行う前に、そのスポーツと似たような動きを取り入れたウォームアップ(Direct Warm Up)を適度な強度と時間で行うことにより、トレーニングを行ってきた選手のパフォーマンスを向上することができる。しかし、トレーニング経験のあまりない選手の場合には必ずしもパフォーマンスの向上を期待することはできない。
  • バイクや単なるストレッチなど競技特性と関係のないウォームアップ(Indirect Warm Up)は、過度な負担のかからない範囲で行う限りパフォーマンスを向上させることが多くある。
  • ウォームアップが競技のパフォーマンス向上には関係ないと結論付けている研究のほとんどは、強度の強いウォームアップには耐えられないようなトレーニング未経験者を実験の対象に用いている。
  • 強度の強いIndirect Warm Upは,技術(motor skill)を必要とするスポーツには逆効果になる場合がある。

1. ウォームアップとしてのジョギングマトリックス

ランニングでは、つま先から指先までほとんどの関節で、全額面・矢状面・水平面の3面での動作が起こっています。この3面での動作がしっかりと機能しないことで、膝や腰などに負担がかかり慢性的な痛みを引き起こすことがあります。そこでその3面の動きをさらに強調する意味でジョギングに加えて、いろいろな動作を付けて行います。先日、ある本を読んでいたら、かつてトレーニングで最先端をいっていたソビエトの子供たちのトレーニングとして、単にジョギングだけでなく、木の周りを他の子供たちと駆け回ったり、ジグザグに走ったり、ホッケーのスティックを持ってお互いに引っ張り合ったりと、体全身を使った動きを重視していたという記事を読みました。これは、まさにトレーニングというよりも昔私たちが、鬼ごっこをしたり、ゴムとびなどをしたりして身に付けた身体能力の1つです。最近の子供たちは、外で遊ぶ時間が少なくなったと聞きますが、特に子供たちのトレーニングでは単に疲れ果てるまでのトレーニングだけでなく、このように自分の体をコントロールしながら全身を使った動きを取り入れることがとても重要になると思います。
そこで、下に基本的なジョギングマトリックスの例を紹介します。これを参考にいろいろなジョギングドリルを作ってみてください。

場所
陸上競技場のトラック、野球場、サッカー場などの広場
方法
ジョギング、キャリオカ、ジョギング、バックステップ、ジョギング、サイドステップ、ジョギング、アイススケートジョグ(外に大きく足を踏み出したホップ)、ジョギング、クロスオーバージョグ(足を内側にクロスさせながらジョギングをする)、腕を多方向に回しながらのジョギング、腰(上半身)をひねりながらのジョギング、ジョギング動作を繰り返して行っていきます。
このほかにも、いろいろなバリエーションがあるので、それぞれの競技特性に合わせて、ドリルを組んでみてください。


2.メディシンボール・コアウォームアップ

週に2,3回は軽いメディシンボールを使って、練習または試合前に体幹部のウォームアップを行うのもいいでしょう。メディシンボールのないチームでは、メディシンボールの代わりに、ダンベルやペットボトルに水を入れて、動作だけを付けたドリルを入れるのもいいでしょう。「メディシンボールトレーニング」の章を参照してください。


3.ムーブメントドリル

ここでは、単に単一の筋肉を静止状態でストレッチするのではなく、動きの中で“動作”をストレッチすることを意識しています。また、体をうまくコントロールすることも意識するように行ってください。

1) ウォーキングランジマトリックス:20メートルほどの距離を行います。
矢状面ウォーキングランジ(上体を後ろに倒す)
水平面ウォーキングランジ
前額面ウォーキングランジ
サイドランジウォーク
後ろ向きランジウォーク:ポステリアリーチ(上体を斜め後方向に傾ける)
2) ハムストリングランジウォーク
3) スパイダーマン
4) インチワーム
5) ウォーキングピックアップ
6) ストレートレッグマーチ
7) キャリオカウォーク
8) ウォーキングニータック
 
9) スコルピオン(うつ伏せになった状態で足を交互にクロスさせて行います)
10)ポステリア・リーチ マトリックス (腸腰筋のストレッチとコントロール)
真後ろ 左斜め後
右斜め後


4.ディレクトウォームアップ (Direct Warm Up)

ここでは、一般的な動きを中心としたウォームアップからさらに進んで、それぞれの競技特性にあった動作を行います。たとえば、野球であれば回転運動が中心となります。そこで、体幹部の回転運動やされに肩周りの動作を中心に行います。瞬発系のスポーツでは、強度を強めにして短時間で行い、練習や試合にスムースに移れるようにします。たとえば、90%以上で行うダッシュや、ジャンプ系の動作を必要とするスポーツには全力に近い動作で多方向ジャンプを量を少なめにして行います。あくまでも練習や試合前のウォームアップの一環として行っているので、過度な疲れを起こさせないようにしてください。


5.バランスウォームアップ

ここでは、単に筋肉のウォームアップだけでなく、怪我を防ぐ意味でも神経系所ウォームアップを行います。以前に紹介した「バランスドリル」の章を参照してください。器具を使わずに、片足で立っていろいろな動作を行いながらバランスのウォームアップドリルを行うことができます。


6.リアクション

ほとんどのスポーツでは、あるシグナルに対して動作を行います。このシグナルも単に、掛け声や笛に対してリアクションを行うだけでなく、実際の競技の中で起こるシグナルを用いてドリルを行うようにしてください。たとえば、野球では目による反応が中心となるので、視覚を用いたトレーニングを行います。また、陸上競技の短距離走などでは笛などの音による聴覚を使ったリアクションを用います。そのほかに、サッカー、バスケットボール、ハンドボールなどでは、ディフェンスと接触しながら、相手の動きを感じてリアクションを行います。その意味で、たとえばパートナーと接触した状態から、パートナーが動いた瞬間にスタートを切るリアクションドリルを行うこともできます。それぞれの競技で起こるリアクションの場面を考え、効率的なリアクションドリルを組み立ててみてください。それによって、よりスムースに実際の競技の技術練習や試合に神経系を適用させることができます。

ウォームアップとして単なる「準備体操」を行うだけでなく、練習や試合前の天候や選手の体の状態にあわせて、目的のあるウォームアップを行うようにしてください。これによって練習や試合中の怪我を防ぐだけでなく、パフォーマンスの向上に役立ててもらえればと思います。
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2005/01 第21回
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「ファンクショナルストレッチ1 ―アクティブストレッチ―」
2004/09 第19回
「パワートレーニング ―コンプレックストレーニング―」
2004/08 第18回
「足首捻挫のファンクショナルリハビリテーションプログラム」
2004/07 第17回
「腰部のメインテナンスプログラム」
2004/06 第16回
「ショルダーメインテナンスプログラム」
2004/05 第15回
「ウォームアップのバリエーション」
2004/04 第14回
「ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(パート2)」
2004/03 第13回
「ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(パート1)」
2004/02 第12回
「マトリックスバランスドリル(パート2)」
2004/01 第11回
「マトリックスバランスドリル(基礎編)」
2003/11 第10回
「ダンベルマトリックス −上半身、下半身−」
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「メディシンボールドリル」
2003/2 第2回
「バランスボールドリル - 上半身、下半身トレーニング」
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