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Training Drill
友岡和彦の競技者のためのトレーニングドリル
第11回 「マトリックスバランスドリル(基礎編)」

マトリックスバランスドリル(基礎編)

 今回はバランスドリルについて紹介したいと思います。バランスドリルは無数にあり、ここではそのドリルを作る際の考え方を中心に説明したいと思います。このドリルについての説明を読む前に、以前「トレーニングガイド」で取り上げた「バランストレーニング」を参照してください。これにより、私の基本的なバランストレーニングの考え方がわかると思います。今回のトレーニングガイドを通して、ここで紹介するドリルそのものを使うよりも、ドリルの作り方を習得することによって、皆さん自身が独自のドリルを作り、それを選手それぞれ、またスポーツそれぞれにあうように応用してもらえればと思っています。

      バランスドリル?
 バランスドリルを作るときに、最も重要なことは何かということから考えていきましょう。バランストレーニングのおもな目的は、重心をしっかりと安定すると同時に、体のすべての部位がお互いに協調しあいながら、それぞれが正しい可動域で、正しい方向で、正しい力の割合で、そして正しいタイミングで動けるようにすることです。ただ単に片足で立って、バランスを維持するだけではパフォーマンスの向上にはなかなか結びつきません。また、その反対に、基本的なバランスドリルもできないうちに、バランストレーニングを考えるあまり、不安定すぎるものの上に立つようなドリルを行うことで、その反応として逆に上半身が過度に縮こまり固定されすぎることにもなります。ドリルを選ぶ際に、単にバランスがとれにくいエクササイズをランダムに選ぶのではなく、いくつかの基準を設けてそれに従って、決めていくと効率的にバランストレーニングを行っていくことができます。ただ難しいドリルを選んで「ピエロ」が行うようなマニアック的なトレーニングを実際に行ってしまうトレーナーの方を見ることも時々あります。
 バランスドリルは、ウォームアップ(神経系のウォームアップ)、トレーニング、リハビリの一環としても使うことができます。特に障害後には、筋肉だけでなくバランスをつかさどる神経系の器官に障害を与えてしまうために、フィールドに完全復帰する前に、単に筋力面のリハビリだけでなく、バランストレーニングがとても重要になります。


バランスドリル選択の考慮点
  1. ドライバーと動作面
    動作面については、繰り返し言ってきたことですが、ここでも前額面、矢状面、水平面の3つの面を使って行います。また単に下半身を3面で動かすのではなく、上半身も3面で動かしながら全身のバランスをとります。ここでは、動いている部位をドライバーと呼ぶようにします。3面でのドライバーの動作を行いながら、全身のバランスをとるようにコントロールします。
    1. 下半身がドライバー
      片足で立ち、上げた足を前後(矢状面)、左右(前額面)、またクロス(水平面)の方向に動かしてバランスを保つようにします。


    2. 上半身がドライバー
      片足で立ち、体幹から上を前後、左右、またはクロスにひねりながら、バランスを保ちます。


    3. 下半身、上半身がともにドライバー
      片足でA+Bの動作を行います。たとえば、下半身が、矢状面で動きながら、上半身が前額面で動くような動きをとります。簡単な例では、前方ランジを行いながら、状態は横に曲げながら、その間に体の軸を保つようにします。

  2. プログレッション
    すべてのドリルで共通することなのですが、段階を追ったトレーニングは単に「いい」ドリルを行うことよりもはるかに重要です。バランスドリルでは、靴を脱いで、片足で立つことから始めます。その状態で体のバランスをとることを習得した後,1で紹介したA,B,Cの順番でドリルを行っていきます。その後、今度は不安定なものの上に立って、バランスを保つことを練習するようにします。いきなりドリルの強度だけに固執してしまい、ピエロがするような難しいバランスドリルを行って、バランスドリルの選手を作ろうとするのではなく、スポーツのパフォーマンス向上を目的としていることを見失わないようにしてください。


  3. ドローインマニューバー
    以前「体は部位同士が鎖でつながれている」ということを書いたことがありますが、体幹部は上半身と下半身をつなぐ役割をしています。そこで体幹部、特に背骨をしっかりと安定させるという意味で、以前紹介したドローインマニューバーを使ってドリルを行うようににします。先月ドームのトレーニングサポートの一環として、プロ野球選手たちのトレーニングを見たときに、多くの選手がこの方法を用いることでバランスが取れるということを実感していたようです。


  4. スピード
    スプリント選手などは、足の接地時間は0.1秒ほどといわれています。ということは、この短時間の間にバランスを取り直して、しっかりと地面に対して蹴る動作をおこなっています。最大限の力で地面を蹴るためには、しっかりとローディングとアンローディング(「ダンベルマトリックス」を参照してください)の動作を短時間で行わなければいけません。そこで、ジャンプやホップ形のドリルを3面を使って行います。簡単な例は、ミニハードルを使って、両足・片足で前後、左右、または回転の動作で素早く、正しい姿勢で飛び越えていきます。


  5. 器具の選択
    バランストレーニングを行うための様々な工夫されて道具が出ています。しかし、先ほど触れたようにプログレッションとして、まずは地面に立って、そこであらゆる動作をしながらバランスを保つドリルから始めるようにします。それから、バップスボード、バランスディスク、バランスパッド、BOSU、リーボックコアボードなどを使ってバランスをとるドリルを行います。また、ドライバーとなる部位に、ボディーブレード(上半身)、チュービング、ダンベル・カフウェイトなどを使って、体に新しい刺激を与えてあげてもいいでしょう。


   
ドリル例

これはあくまでもごく1部の例であって、このほかに無数にドリルを作ることができます。基本は3面での動き方を考えることからはじめてください。つまり、上半身、または下半身がどの方向に動くか、そしてどのようにそれらを組み合わせていくかを考えます。
*ここではBOSUを使ったドリルを紹介していますが、最初は地面に立ってこれらのドリルを行います。


下半身が矢状面でのドライバーとなっている例(膝の上下動)
1.  2. 

下半身が水平面でドライバーとなっている例(足を斜め後方向にクロスさせている)

上半身が水平面でドライバーとなっている例

上半身が矢状面でドライバーとなっている例

上半身・下半身がともに3面すべての面でのドライバーとなっている例


■応用■

MBウッドチョップ

MB片足フロントパス

MB片足サイドパス

MB片足オーバーヘッドパス

リーボックコアボードを使った股関節の瞬発的な捻り
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バックナンバー
2005/02 最終回
「スポーツスペシフィックトレーニングの例」
2005/01 第21回
「コンプレックス・ストレッチプログラム」
2004/10 第20回
「ファンクショナルストレッチ1 ―アクティブストレッチ―」
2004/09 第19回
「パワートレーニング ―コンプレックストレーニング―」
2004/08 第18回
「足首捻挫のファンクショナルリハビリテーションプログラム」
2004/07 第17回
「腰部のメインテナンスプログラム」
2004/06 第16回
「ショルダーメインテナンスプログラム」
2004/05 第15回
「ウォームアップのバリエーション」
2004/04 第14回
「ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(パート2)」
2004/03 第13回
「ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(パート1)」
2004/02 第12回
「マトリックスバランスドリル(パート2)」
2004/01 第11回
「マトリックスバランスドリル(基礎編)」
2003/11 第10回
「ダンベルマトリックス −上半身、下半身−」
2003/10 第9回
「フォームローラードリル」
2003/8 第8回
「自体重ドリル」
2003/7 第7回
「チュービングドリル」
2003/6 第6回
「ミニバンドドリル」
2003/5 第5回
「マイクロハードルドリル」
2003/4 第4回
「ミニハードルドリル」
2003/3 第3回
「メディシンボールドリル」
2003/2 第2回
「バランスボールドリル - 上半身、下半身トレーニング」
2003/1 第1回
「バランスボールドリル - 体幹トレーニング」


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