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Training Drill 
友岡和彦の競技者のためのトレーニングドリル
第2回 「上半身、下半身のトレーニング」

バランスボールドリル −上半身、下半身のトレーニング−

今回はバランスボールを使った下半身、上半身のドリルを紹介していきたいと思います。以前「トレーニングガイド」でも紹介したように、バランスボールを使うことによって、不安定な状態を作り出し、その状態で一連の動作を行うことができます。これによって、安定した状態で行うよりも、重心をコントロールしようとして、より多くの小さな筋肉を動員することになります。この小さな筋肉群は、主働筋として働くというよりも、体のバランスを安定させて、主働筋がより効率的に働くのを手伝う目的があります。組み体操でいう、土台の人たちの役割に似ています。下の人がしっかりと支えていなければ、上に乗っている人はしっかりと自分の動作を行うことができず、崩れてしまうことにもなります。これは、人間の体もまったく同じで、しっかりと固定筋、協同筋が働いていなければ、どこかに負担がかかり、障害につながります。また、ベンチに仰向けになって、150キロのバーベルを持ち上げられる選手でも、いざフィールドに出て、自分の足で立って、不意のリアクションによって、バランスをすぐに崩してしまう選手も見かけます。


日常生活においても、どのレベルのスポーツ競技においても、単に強い体幹だけを必要とするのではなく、バランスの取れたスピード・センター(Twist, 2001)を持つことがとても重要だといわれています。スピードセンターとは、腹筋、腰部、股関節の伸展・屈曲、回外・回内に必要な筋肉、そして、殿部の筋肉のことを指しています。そして、これらの筋肉は、ホッケーのショット、砲丸投げ、ゴルフのスイング、フットボールでのクウォーターバックのスロー、ラインのタックル、また、テニスのサーブなどで重要で、これらすべての瞬発的な動きを始動し、重心を固定し、そして動的な動きを支える働きをします。



このことからこれらの筋肉1つ1つを鍛えることが必要があるということに気がつきます。しかし、「トレーニングガイド」でも繰り返し言ってきていているように、日常生活でも、フィールド上の動作でも、筋肉が単一的に個別に働いているのではなく、筋肉個々が協調しあって、一連の動作を作り出しているのです。人間の体を、ひとつの「鎖」と考えて、そのどこにも「たるみ」が起きないように全身を使った総合的なトレーニングを行うようにします。

そこで、このバランスボールを使ったドリルを行うことによって、通常のウェイトトレーニングで主に鍛えている主働筋とは別に、パフォーマンスの向上でも、障害予防でも重要な固定筋、協同筋を鍛えることができるのです。主な障害の原因は、主働筋があまりにも強いのに対し、固定筋、協同筋の筋力がはるかに劣っている場合、そして、主働筋、固定筋、協同筋ともにすべて弱い場合があげられます。

ここで、勘違いしてもらいたくないのですが、1年を通して、毎日のトレーニングでこのようなバランスボールドリルだけを使うようにすることを薦めているのではなく、通常のウェイトトレーニングに加えて、このようなドリルを行うことの有効性を言っているのです。重い負荷を使ったウェイトトレーニングも、私は皆さんと同じぐらい重要視していますし、選手たちにも行わせるようにしています。ひとつのトレーニング形態に固執しないで、バリエーションに富んだドリルを行うようにしてください。
 

●プログレッション
これまで「トレーニングガイド」を読んできてもらっていれば、プログレッションがすべてのドリルで重要になってくるのがわかるかと思います。そこで、ここでも確認のためにバランスボールを使う際の基本的なプログレッションについてあげておきます。これはあくまでも、目安であって、すべてのドリルに当てはまるとは限りません。

  1. 土台を変える:スタンスの広さ、片足vs両足、片手vs両手、地面vs不安定なものなど

  2. 足、腕などの伸展・屈曲:メディシンボールを抱えてクランチを行う際、腕を頭上に伸ばして行うか、腕を曲げてメディシンボールをあごの下に抱えて行うかなど

  3. 可動域:関節に障害のある人は、狭い可動域からはじめていきます。
  4. 動作のスピード:メディシンボールドリルでは高速のほうが、バランスを保つという面で難度が高くなり、バランスボールドリルでは、低速のほうが一般的に筋肉に負荷がかかります。

  5. 負荷

  6. 視覚:目を閉じることによって、バランスをとるのが難しくなります。


上半身バランスボールドリル

1.プッシュアップ(2通り)、ウォークアウト
いくつかのバリエーションがありますが、腰を落としすぎず、曲げすぎず、ニュートラルの状態を保って腕立て伏せを行います。レベル1では、最初に、ひざをボールの上に乗せ、それから、すね、足首というようにプログレッションをしていきます。ウォークアウトでは、最初にももをボールにのせ、それから、手押し車の要領で、足首がボールの上にくるまで歩いていきます。それから、今度は、元の状態に戻っていきます。このほかに、ボールを中心として1回転して、うまくバランスをとりながら、手押し車をする方法もあります。

レベル1

レベル2

レベル3

ウォークアウト

2.スカプラ プッシュアップ
腕を曲げずに、肩甲骨を真上に押し出すようにします。このほかに、足をボールに乗せ、地面でこの動作を行うこともできます。

3.DB(ダンベル)チェストプレス
首をボールの上にのせ、腰を曲げずに、ニュートラルの状態を保ちます。この状態から、ボールをバウンドさせないように、ダンベルを真上に上げていきます。そして、この状態から、ダンベルをゆっくりと下に下ろして、もとの状態に戻します。

両手DBチェストプレス

片手DBチェストプレス

4.チンアップ
両足のかかとをボールにのせ、鉄棒、またはスクワットラックのバーで斜め懸垂を行います。このとき体は、できるだけ1直線になるようにします。最初は、高い鉄棒を使ったり、バーを高めにセッティングして大きく傾斜をつけた、斜め懸垂を行います。

5.リアデルトイド レイズ
バランスを保つために、両足を広く開きます。このとき、体の側部をボールにのせるようにして、三角筋後部を使うようにしてダンベルを斜め上に上げていきます。このとき、できるだけボールをバウンドさせないようにします。

6.ショルダー ウォール スライド
腕を上に上げ、壁に対して小さめのバランスボール(55センチ)を押し付けるようにします。この状態から、ひじを曲げずに、肩甲骨の動きを意識して、ボールを大きく回します。最初は30秒ほどから始め、感覚を確かめてみてください。それから、逆方向に回転させます。

7.ショルダー ロール
いすに座り、ショルダーウォールスライドの要領で、肩甲骨の動きを意識しながら、ボールを小刻みに回転させます。このとき、パートナーに後ろに立って、ボールを軽くたたいてもらい、うまくボールをコントロールしながら回転させるといっそう効果的です。

8.トライセプス エクステンション
首をボールの上にのせ、腰をニュートラルの状態に保ちます。片手で、逆のひじを固定して、腕の曲げ伸ばしをゆっくりと行います。

9.トライセプス ブラスター
腰をニュートラルの状態に保ち、腕を曲げた状態で、重心をボールの上に乗せます。この体勢から、上腕3頭筋を使ってゆっくりとひじを伸ばしていきます。完全に伸びきったところで、ゆっくりとひじを曲げていき元の状態に戻します。

上半身バランスボールドリル

1.ウォールスライド(両足、片足、二頭筋カール)
背中と壁の間にバランスボールを挟み、ボールに寄りかかるようにします。このとき足は肩幅ぐらいに開きます。この状態から、太ももが地面に対して、平行になるぐらいまでゆっくりと下ろしていきます。このとき、ひざがつま先より前に行かないようにします。これを正しいフォームで行えるようになってから、今度は片足で同じ動作を行うようにします。このとき、肩と壁が平行に上下動するように行います。上半身が、左右にぶれたり、片側に回転したりしないようにします。
また、バリエーションでウォールスライドを行うのと同時に、ダンベルをもって2頭筋のアームカールを行うこともできます。

両足でのウォールスライド

片足でのウォールスライド

ウォール スライド+アームカール

2.ラテラル ウォールスライド (アウトサイドレッグ、インサイドレッグ)
壁に対して横に向き、肩と壁の間にボールを挟み、ボールに寄りかかるようにします。この状態から片足で立ち、ゆっくりと下に下げていきます。外側、内側の足両方を、同じ要領で行います。

外足でのラテラル ウォールスライド

内足でのラテラル ウォールスライド

3.ウォールプッシュ
足を肩幅ほどに開き、胸と壁の間にボールを挟んで、ボールに対して前向きに寄りかかります。この状態から、ゆっくりとひざを伸ばしていきます。上のドリルと同様に片足で行うバリエーションもあります。

4.シングルレッグ スプリット スクワット
後ろ足の甲の部分を、ボールの上にのせて、片足で立ちます。この状態からバランスを保ちながら、ゆっくりとひざを曲げて、片足でのスクワットを行います。このとき、前足のひざがつま先より前に来ないようにします。体重は前足にのせるようにします。

5.サイドスプリットスクワット
足首の内側を、ボールにのせます。この状態から、ボールを横に転がすようにして、片足でのスクワットを行います。このとき、ボールにのせた足と逆の足に体重をのせます。

6.シッティング レッグブラスター(ハムストリング)
チュービングを片方のかかとに固定して、ボールの上に乗せます。この状態から、ゆっくりとボールを地面に押し付けるようにしながら、チュービングを引っ張ります。

7.ハムストリング ブリッジ(両足、片足)
床に仰向けになり、手を斜め下に広げて体のバランスを保ち、両足裏をしっかりとボールにのせるようにします。この状態から、腰をうえに上げていき、体が1直線になったところでしっかりと止め、それから、ゆっくりと元の状態に戻していきます。これが正しいフォームでできるようになったところで、今度は片足で同じ動作を行うようにします。

両足でのハムストリング ブリッジ

片足でのハムストリング ブリッジ

8.ハムストリングカール
仰向けになって、両手を斜め下に開き、両足のかかとをボールの上に乗せて、体が1直線になるようにします。この状態から腰の高さを変えずに、ボールを引きつけ、ゆっくりと戻していきます。これがしっかりとできるようになったところで、今度は片足で同じ動作を行います。

両足ハムストリングカール

片足ハムストリングカール



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